タンパーの扉   (「エスプレッソの扉」別館)
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タンパーとタンピングの基礎知識

タンパーの種類と選び方
 タンパーには様々なサイズ・素材・デザインのものがあり、一長一短があります。

「タンパーの扉」 写真
家庭用タンパーの例
「タンパーの扉」 写真
業務用タンパーの例
「タンパーの扉」 写真
(左)平面 (右)凸面

1.サイズの解説と選び方

(1)重量について

 タンパーの重量はその素材や形状により左右されます。家庭用マシンに付属するプラスチック製のタンパーは100g以下です。業務用タンパーは200g弱のものから500g強のものまで様々ですが、300g台のものが主流です。

 タンパーが軽すぎると、微妙な操作は楽ですが、自分でしっかり力を加えなければならないので何度もタンピングを繰り返すと腕が疲れます。タンパーが重すぎると、その重みを利用して力を加えるのでタンピングは楽ですが、微妙な感触が手に伝わりにくいですし、何度も繰り返すとタンパーの重さ自体で腕が疲れます。

 適度に重いのが良いのですが、何gが理想的かは、バリスタの体力及びタンピングの頻度によっても異なります。アマチュアのバリスタの場合はプロのように腱鞘炎を気にする必要なく重いタンパーを使えますが、家庭用の安価なマシンの場合は強くタンピングするより均等にタンピングすることの方が重要なので、微妙な操作ができる程度の重さに抑える必要があります。

 特に通販でタンパーを買う際には重さのことを忘れがちです。事前に重さを確認の上で、身近な物と比較してイメージと合っているか確認しておくと、思わぬ後悔を避けられるでしょう。

(2)高さについて

 タンパーには高さが50mm程度の(ハンドルが短い)ものから、高さが90mm程度の(ハンドルが長い)ものまで各種あります。ハンドルが短いと、手の位置がフィルターに近いので、しっかりと押さえつけている実感を得られます。ハンドルが長いと、手の位置がフィルターから遠いので、タンパーが傾いているかどうかを感じ取りやすいです。

 ハンドルを真横から握るスタイルのバリスタには、ある程度高い(軸が長い)タンパーの方が使いやすいでしょう。また、どの高さのタンパーが力を加えやすいかは、バリスタの身長及びタンピングを行うテーブルの高さの関係にもよるでしょう。

(3)台座の直径について

 タンパー選びにおいて一番重要なのは台座の直径です。台座がフィルターより小さすぎると周辺部のタンピングがうまくできず、均一なタンピングが難しくなります。

 台座の直径については次のページで詳しく説明します。このページを最後までご覧になってから次に進んでください。



2.素材の解説と選び方

 将来的にはチタンなどの金属やジュラコンなど特殊な樹脂を素材とするタンパーが登場するかもしれませんが、現時点で市販されているタンパーの素材は、ステンレス、アルミニウム、プラスチック(ABS樹脂など)、木材の4種類です。これら4素材の長所と短所を以下にまとめてみました。

素材 長所 短所
ステンレス 耐久性がある
高級感がある
重過ぎる
比較的高価
アルミニウム 適度な重さ
適度な価格
腐食に弱い
高級感に欠ける
プラスチック 耐久性がある
比較的安価
軽過ぎる
高級感に欠ける
木材
(ローズウッド等)
比較的安価
高級感がある
軽過ぎる
腐食に弱い

 実際のタンパーには、台座部分とハンドル部分に異なる素材を用いているものもあります。業務用タンパーには、台座部分に耐久性のあるステンレスを用い、全体の重量化を避けるためにハンドルにアルミや木材を用いたものをよく見かけます。

 機能性を重視するのであれば、重さや価格のバランスという点でアルミニウムが優れています。しかし、バリスタの小道具として所有する喜びを重視する人は、高級感のあるステンレスやステンレスと木材の組み合わせを好む傾向にあります。最近は、アルミニウム製のタンパーにも、腐食防止の表面処理を施したり、色彩やデザインでファッション性をアピールするものが出てきましたが、日本国内ではまだ選択肢は多くありません。


3.デザインの解説と選び方

(1)ハンドルの形状

 タンパーのハンドルには円盤状のものから丸みをおびたものまで様々なデザインがあります。バリスタにもハンドルを上からつかむ人や横からつかむ人がいます。見た目よりも、自分のスタイルに合った「握ってしっくりくる」デザインのハンドルを選ぶことが重要です。

(2)ハンドルの長さ

 既に「1.サイズの解説と選び方」の「(2)高さについて」で述べたように、ハンドルが短いと、手の位置がフィルターに近いので、しっかりと押さえつけている実感を得られます。ハンドルが長いと、手の位置がフィルターから遠いので、タンパーが傾いているかどうかを感じ取りやすいです。

(2)平面か凸面か

 タンパーには、粉に接する圧縮面が平面であるものと、わずかな凸面(とつめん)をしているものがあります。(凹面(おうめん)のタンパーも存在しますが普及していません。)両者の間に決定的な違いはありません。

 お湯の圧力を均等に受け止めるために平面タンパーが良いか凸面タンパーが良いかについては、海外で論争の対象になっていますが、この議論はタンパーのみならずマシンとの相性、すなわちフィルターの形状や給湯口の形状にも関係する上、使い心地の好き嫌いという主観的な議論も混じり、一般的な結論がある訳ではありません。

 タンパーが自分のマシンとフィルターに合っているかは、抽出後のフィルター内のコーヒー滓を見て診断することができます。もし、平面タンパーを使っていて、常に中央部のみにひびが入ったりえぐれたりしているようであれば、中央部のタンピングが不十分ということなので、凸面タンパーの方が適しているでしょう。逆に、凸面タンパーを使っていて、常に周辺部にリング状にひびが入ったりえぐれているようであれば、周辺部のタンピングが不十分ということなので、平面タンパーの方が適しているでしょう。

 但し、タンピングの際にフィルターホルダーをノックするバリスタの場合は、平面タンパーを使っていても周辺部の一部にひびが入ることがあります。これはノックの衝撃により粉とフィルターの壁面の間に隙間が生じることが原因です。凸面タンパーを使うことにより症状は軽減されますが、むしろ、ノックを弱めにするか行わない方がよいでしょう。

 上記のような特段の症状がなければ、自分の使いやすいタンパーで構いません。平面タンパーの方が隅々まで粉をグリップできる感じがして良いと言うバリスタもいれば、凸面の方が粉をしっかり押せる感じがして良いと言うバリスタもいます。はじめての人には凸面の方が使いやすいという人もいますが、タンピングの傾きの癖をなくすには平面の方が分かりやすいです。タンパーを使わない時にテーブル上や食器棚に立てて置くのであれば平面タンパーの方が安定します。


4.まとめ

 タンピングの技術には「美味しくなるタンピング」と「美味しくならないタンピング」がありますが、タンパーに「美味しくできるタンパー」と「美味しくできないタンパー」がある訳ではありません。

 タンパー選びに際しては「自分が使いやすい(サイズ、素材、デザインの)タンパー」を見つけることが重要です。「自分が使いやすいタンパー」を選択することが「美味しくなるタンピング」を容易にします。

 残念ながら現在の日本では複数のタンパーを手にとって比較しながら選択する機会がほとんどありませんが、上記のポイントを参考に選択肢を絞り込んでいってください。


5.(追記)スターバックスのタンパーの改造

 読者の丸福さんより、パブリック・ラウンジ(2F:ハマっている人の談話室)において、スターバックスで市販されている凸面タンパーを平面に改造した話を紹介頂きました。アルミの円盤を接着剤で貼り付け、接合部をゴムリングで覆った物です。具体的な作り方については過去ログ(#892)をご覧下さい。写真を提供頂きましたので紹介します。

スタバタンパーの改造
アルミの円盤と市販の凸面タンパー
スタバタンパーの改造
改造後の平面タンパー

 この話を読んだK★S☆Kさん(当時のハンドル名はけいすけさん)からも、自分もやってみたという話を紹介頂きました。その体験談については過去ログ(#1003)をご覧下さい。自作のタンピング作業台とともに写真を提供頂きましたので紹介します。

スタバタンパーの改造
(左)Reg Barber のタンパー
(右)改造タンパー
タンパー台
自作のタンピング作業台

 他にも改造タンパーや自作タンパーの例があればパブリック・ラウンジ(2F:ハマっている人の談話室)にてご紹介頂ければ幸いです。


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