タンパーの扉   (「エスプレッソの扉」別館)
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タンパーとタンピングの基礎知識

タンパーの構造とタンピングの目的
 タンパーとはどういう道具で、タンピングは何のために行うのかを説明します。


1.タンパーの構造とタンピング

 タンパーは、コーヒー豆のの粉を抑える台座と、手で握るハンドルから構成されます。ハンドルが直接台座に装着されているものや、ハンドルと台座が軸で連結されているものがあります。また、ハンドルと台座がサイズ違いの同じ形をしていて、リバーシブルで使えるようになっているものもあります。

 タンピングとは、タンパーのハンドルを手で握り、フィルターの中に盛られたコーヒー豆の粉にタンパーの台座を押しつけ、手で力を加えて粉を詰め込む作業です。


2.タンピングの機能と目的

 タンピングには以下の2つの機能がありますが、いずれも、その目的は「圧力のかかったお湯がコーヒー豆の粉の間を均等に強制的に通過する」条件を整えることにあります。

(1)コーヒー粉の圧縮
 圧力のかかったお湯がコーヒー豆の粉の間を自由に通過することがないよう、粉を圧縮することにより、粉の間の空間を縮小させ、粉が自由に動かないようにします。

(2)コーヒー粉の成型
 圧力のかかったお湯がコーヒー粉の薄い部分や弱い部分から多く通過することがないよう、粉を成型することにより、コーヒー粉の層を均質な状態にします。

 詳しくは次ページ「エスプレッソ抽出とタンピングの理論」で説明します。


3.タンピングの力加減

 適切なタンピングの力加減は、マシンにより豆により異なります。同じマシンと同じ豆でも、豆の挽き具合や他の諸条件が異なると適切なタンピングの力加減は変わります。理想的な抽出の様子は俗に「はちみつの垂れる速度」あるいは「20〜30秒で30cc」などと言われますが、このような抽出の様子と、あとは実際に抽出されたエスプレッソの味を手がかりに、バリスタが何度か試行錯誤して適切な力加減を探し出すしかありません。

 海外の書物やサイトをみると、タンピングの力加減について「自分は30ポンド(約13.5kg)でやっている」とか「50ポンド(約22.5kg)が良い」とか様々な記述がありますが、この数字を家庭用マシンにそのまま適用することはできません。海外の議論は業務用マシンと業務用の使用が前提となっているからです。

 たとえば、業務用マシンのフィルターの直径は、一部の例外を除き58mmです。家庭用マシンのフィルターの直径は、メーカーにより様々で、52〜53mmのものが多いですが、中には43mmという小さなものもあります。面積は半径の2乗に比例しますから、仮にマシンの性能など他の条件が同じだったとしても、58mmのフィルターに加えるのと同じ圧力を43mmのフィルターに加えるためには55%の力加減で良いことになります。

 その一方で、業務用マシンの場合、プロのバリスタは一日中タンピングを行っても腱鞘炎を起こさないという考慮を払いつつタンピングの強さを決め、そこから逆算して粉の挽き具合を調節することがあります。一日に何度も抽出しないアマチュアのバリスタの場合は、特にそういう考慮を払う必要はないでしょう。

 それでも、海外の書物やサイトにある「体重計の上でタンピングをしてみて力加減を覚える」という練習方法は参考になります。何kgが適当かは自分で探し出す必要がありますが、探し出した力加減を体で覚えて、いつも一定の力加減で行えるようにすることは重要です。

(注意) 直火式の器具や、フィルター径の小さな家庭用マシンの場合、均等なタンピングは重要ですが、必ずしも強いタンピングは必要ありません。強ければ強いほど美味しくなる訳ではなく、過度に強いタンピングは危険ですらあります。はじめての抽出の際には軽めのタンピングから始め、抽出状況をみながら必要に応じて徐々に強めるようにして下さい。


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