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エスプレッソに関する誤解

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エスプレッソと名乗る缶コーヒー

缶コーヒー

 エスプレッソと書いている缶コーヒーの中身はエスプレッソなの? → それは誤解です。

(簡単に言えば…)
 表示をよく読む必要があります。製品によっては「ただの缶コーヒー」だったりします。


(難しく言えば…)
 コーヒー缶は小さなものでも150mlは入るので、通常30mlのエスプレッソを入れると空間が余ってしまいます。5杯分のエスプレッソを入れると採算がとれませんし、普通の人は一度に5杯も飲めません。そこでメーカーがどうするかと言えば、以下のような対処方法が考えられます。

1.ミルクと合わせる。
 但し、これでは「カフェラテ」になってしまいます。まあ、最近のコンビニやスーパーでは、単なるコーヒー牛乳が「カフェラテ」とか「カプチーノ」とかいう名前で売られているので、「単なるドリップコーヒーでなく実際にエスプレッソを使っているのだ」ということを強調するために「エスプレッソ」という単語を使いたいのであれば、その気持ちは分かります。分かるのですが、でもこれは「エスプレッソ」ではなく「カフェラテ」です。

2.分量を多めに抽出する。
 エスプレッソマシンにも蒸気式や本格的なポンプ式など様々あります。工場で大量生産するのであれば、蒸気圧等の比較的低い気圧で多めに抽出しているのかもしれません。つまり、ドリップコーヒーと本格的なエスプレッソの中間的なコーヒーです。紙コップにコーヒーを注ぐ自動販売機では「ソフトエスプレッソ」「マイルドエスプレッソ」等の名前で売られていることもあります。

3.普通のコーヒーをエスプレッソと名付ける。
 これを正面からやると不当表示ですので、何らかの説明がつけられるようにしているのが普通です。日本では「コーヒー」という品名表示については詳しい規定がありますが、「エスプレッソ」「カフェラテ」「カプチーノ」等については詳しい規定がなく、かなり自由に(悪く言えば、恣意的に)使われています。


 実際に個々の製品がどうなのかは、表示を良く読む必要があります。表示されていない情報については想像するしかありません。いずれにせよ、お店で飲むエスプレッソがそのまま缶入りになっていることを期待するよりも、缶コーヒーとして既存の製品より美味しいかどうか、エスプレッソの気分が出ているかどうかを考える方が現実的でしょう。


(資料編) エスプレッソやデミタスと名乗る缶コーヒー

缶コーヒー

 商品名に「エスプレッソ」という文字のある缶コーヒーを4種類集めてみました。ついでに、「デミタス」という文字のある缶コーヒーも3種類集めました。(「デミタス」とは「小さなカップ」という意味です。この場合、コーヒー自体はエスプレッソではないが比較的少量で濃い味わいのコーヒーを目指していると思われます。)比較の基準は以下の通りとしますす。

「分量」…写真でも分かるように、缶にもMサイズ(190g)、Sサイズ(170g)、SSサイズ(155g)があります。またコーヒー豆を基準より多めに使用していることをアピールしている製品もあります。

「製法」…抽出方法がエスプレッソか普通のドリップか、どんな豆を使っているか、コーヒー以外に何を加えているかを比較します。

「表示」…表示が分かりやすいか、良心的か、消費者の関心に答えているかを比較します。

「味」…味覚はあくまでも主観的なものです。専門店で飲むエスプレッソとの比較ではなく、一般的な缶コーヒーと比較しての個人的な印象を記します。


缶コーヒー

コカ・コーラ『ジョージア・エスプレッソマイルド』
http://www.cocacola.co.jp/products/lineup/georgia/
「分量」:Mサイズ(190g)
「製法」:表示によれば「高圧抽出したエスプレッソコーヒー」に「適度な量のミルクと砂糖を加えて飲みやすくマイルドに仕上げました」ということです。牛乳、砂糖、香料入り。
「表示」:「ESPRESSO」というロゴが「ESPRESSO MILD」という文字より大きく目立ちますが、単なる「エスプレッソ」と言わず「マイルド」という言葉でミルクや砂糖の使用を示唆し、製法をきちんと明示していることには好感を覚えます。
「味」:牛乳に負けないコーヒーの味と深煎り豆の風味が感じられ、苦さと甘さのバランスがとれている。このジャンルの缶コーヒーのスタンダード的な味。

缶コーヒー

伊藤園『スーパーエスプレッソ』
http://www.e-chashop.com/shop/goods/goods.asp?goods=0090-9166
「分量」:Sサイズ(170g)
「製法」:表示によると「基準使用量の約2.6倍(1缶あたり約17g)」の豆を使用。コーヒーは「スーパーT−Nブロー製法」とのことですが、これは本社サイトによれば「酸素を取り除き、いれたての味と香りを保ちます」という製法であり、エスプレッソ抽出なのかどうかは不明。牛乳、砂糖入り。
「表示」:添加物について詳しい説明があるのは良心的ですが、「エスプレッソ」と呼べるかどうかは不明。豆を大量に使った濃厚なドリップコーヒーを「エスプレッソ」と定義しているのかも。「スーパー」と名乗っている以上は説明が欲しかったところです。
「味」:缶コーヒーとは思えない濃い味。風味は必ずしも深煎り豆という訳ではない。甘みは強めていないので結果的に苦みが際立つ。好きな人は病みつきになりそうな個性的な味。

缶コーヒー

UCC『エスプレッソ・プレミアム』
http://www.ucc.co.jp/news/rel020828b.html
「分量」:SSサイズ(155g)
「製法」:表示によると「ダークローストの良質豆だけをエスプレッソ抽出。エスプレッソならではのコクと苦みを強調した濃厚な味わいと、まろやかなミルクがバランス良く調和した、こだわりのコーヒー」とのことです。牛乳、砂糖、加糖練乳入り。
「表示」:「ESPRESSO」という文字の上下に「DARK ROAST」「PREMIUM」という文字があるのは製法表示と整合性がとれています。ミルクを合わせていることも明示しており、手堅い表示です。
「味」:極深煎りの風味が強い割に小型缶でミルクの量が少ないため、慣れない人はえぐみと感じるかもしれない。昨年中身をリニューアルしており、今後も進化の可能性あり。

缶コーヒー

AGF(カルピス)『ブレンディ/カフェラモード/エスプレッソローストブレンド』
http://www.calpis.co.jp/kigyou/n/nr0209_7.html
「分量」:Mサイズ(190g)
「製法」:「低糖37%減」以外に特段の表示なし。本社サイトによると「エスプレッソに最適な程度までじっくり深煎りした豆を使用し、コクのある深い味とキレのあるコーヒー感に仕上げました。さらに、コーヒーのおいしさを最後まで味わうために、豊かな風味は残しつつ、ミルクを加え、エスプレッソ特有の苦みの強さを抑えています。」とのことです。牛乳、砂糖入り。
「表示」:和文・英文とも「エスプレッソ」の文字が大きく「ローストブレンド」の文字が小さい上、製法に関する説明がないので、コーヒーに詳しい人でなければ、これが「エスプレッソに使うような深煎り豆を使った普通のコーヒー」だということは分からないでしょう。写真の豆はエスプレッソローストには見えない。
「味」:普通の缶コーヒーとしては決して悪くはないが、エスプレッソという看板を背負ってしまったがために薄いという印象が先に立つ。薄くて低糖なのでガブ飲みに良い。

缶コーヒー

サントリー『ボス/デミタス』
http://www.suntory.co.jp/softdrink/boss/index2.html
「分量」:Sサイズ(170g)
「製法」:表示によると「高温短時間焙煎機で香り良く焙煎した豆と、低温長時間焙煎機でしっかりとしたコクがでるように焙煎した豆を使用」(ツインロースター製法)とのことです。牛乳、砂糖、香料入り。
「表示」:正面からは「BOSS」の「デミタス」としか分かりませんが、ボスシリーズで唯一のSサイズ缶なので、デミタスの意味が分からなくても少量で濃厚なコーヒーであるというメッセージは伝わるのでしょう。
「味」:特に深煎り豆という訳ではないが、コーヒーの風味と砂糖の甘さとミルク感のバランスがとれている。缶コーヒーとしてしっかりと楽しめる味。

缶コーヒー

伊藤園『デミタス』
「分量」:Mサイズ(190g)
「製法」:表示によると「基準使用量7.3gに対して、13.3g」の豆を使用し、「ミルク分を約25%(牛乳の固形量から換算)」加えたとのことです。牛乳、砂糖、脱脂粉乳、加糖練乳入り。
「表示」:正面に「濃いくちビター」という文字があるのは「デミタス」の意味が分からない人にも親切な表示。添加物について詳しい説明があるのも良心的です。
「味」:ミルクの量が多いので濃いとの印象は余り目立たず、加糖練乳も入っているので苦みよりは甘みが目立つ。『スーパーエスプレッソ』より個性の少ない、昔風な缶コーヒー。

缶コーヒー

ダイドー『デミタスコーヒー』
http://www.dydo.co.jp/dydo/release/020225.html
「分量」:SSサイズ(155g)
「製法」:特段の表示なし。本社サイトによると「ガテマラ・ブラジル・ホンジュラス・コロンビアの中南米4カ国のそれぞれを代表するプレミアム豆を厳選し、通常定められているコーヒー規格の1.5倍の量を使用することで、贅沢な味わいを追求しました。また、牛乳を18%使用し、まろやかな味わいを実現しました。」とのことです。牛乳、砂糖入り。
「表示」:非常に小さな活字で英文の説明(深煎り豆で豊かな香りとコクのある風味、という趣旨)がありますが、実質的に表示はないも同然。「飲めば分かる」と言いたいのでしょうか。本社サイトには豆の種類や製法について詳述しており、こちらは誠実さが感じられます。
「味」:深煎り豆の風味は余り強くなく、コーヒーの風味と砂糖の甘さとミルク感のバランスがとれている。見かけによらず親しみやすい缶コーヒー。



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