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こどもの頃、久しぶりに我が家を訪れたおばあちゃんが、我が家のみそ汁は味が濃過ぎると言った。 「こんなに塩辛いのは体に悪いよ」と言いながらおばあちゃんは、手元の湯飲みのお茶をお椀に注いで味を薄め、「うんうん、これくらい薄味な方が体にいいんだよ」と言いながらお椀のみそ汁をおいしそうに飲み干した。とっさに反論の言葉が喉元まで出かかったが、おばあちゃんの幸せそうな顔を見ていると何も言えなくなった。 先日ある喫茶店で、僕がデミタスカップ半量のエスプレッソにスプーン1杯の砂糖を入れた。友人が、そんなに甘いコーヒーを毎日飲むと体に悪いのではないかと心配そうに言いながら、ティーカップにポットからなみなみと紅茶を注いでスプーン1杯の砂糖を入れた。ふとおばあちゃんの笑顔を思いだした。 無糖でおいしいエスプレッソもない訳ではないが、一般的にエスプレッソは適量の砂糖を入れるのがおいしいと思う。飲み比べた上で無糖の方がおいしいと思う人は無糖で構わないし、医者から糖分の摂取を禁じられている人は仕方がない。でも普通の人がちょっとした思いこみでスプーン1杯の砂糖をためらい、その結果「エスプレッソは苦くてまずい」と遠ざかってしまうのでは余りにも惜しい。 100gのコーラの中には糖質が10.9g、みかん果汁でさえ10.5gが含まれている。これは40ccのエスプレッソにスプーン山盛り1杯4gの砂糖を入れた糖度とほぼ同じ。ぶどう果汁やパイン果汁はもっと甘い。 食後にお猪口一杯のジュースが飲めないほど糖分摂取を制限されているのでなければ、あなたが一番おいしいと思う飲み方でエスプレッソを味わって欲しい。 米寿を全うしたおばあちゃんは、塩分摂取を控えていたとはいえないが、自分が一番おいしいと思う飲み方で幸せそうにみそ汁を飲んでいた。